猫は気温の低下とともに、水を飲む量が減ってきます。これは人間でも同じことが言えるのですが、人間は意識して水を飲める動物です。また、お酒や清涼飲料水等、真冬であってもギンギンに冷えた飲み物を好んで飲む人も居ますね。
しかし、寒さが苦手な猫は、冬になると温かい場所を探してたくさん寝るようになります。寒さから身を守るために、体力を温存するために、たくさん寝て冬を過ごします。
当然、運動量も減ってしまいます。すると、さらに水を飲む量が減ってしまうのですが、だからといって何も対策を行わないでいると、水分摂取の低下によって猫の尿が濃くなってしまい、尿路結石に罹患(りかん)してしまう可能性が高まってしまいます。
猫が冬に水を飲まなくなる原因は?
尿が濃くなり過ぎないようにするには、夏場と同じく、しっかりと水を飲ませることが大切です。しかし、冬になると猫は水をあまり飲まなくなります。
水を飲まなくなってしまう一番の原因は、冬の寒さが大部分を占めています。その中でも特に大きな要因は以下の二つです。
- 寒さで運動量が低下するので喉が乾かない
- 飲水が冷たくなるので飲まなくなる
猫は秋になると脂肪を蓄え、厳しい寒さに耐えれるよう冬支度をはじめます。冬になると食欲が増すのはそのためです。しかし、食欲とは比例せず、水を飲む量は減っていきます。室内飼であまり運動しない猫であればなおさらです。
また、猫は冷たい水が苦手です。新鮮な水を用意しているのに、水槽の水やバケツの水、お風呂や台所に溜まった水を飲んでいるのを見たことがあると思います。これはなぜかというと、そちらの水の方が冷たくない(体温に近い水温)ので、好んでそちらの水を飲もうするからです。
猫に少しでも多く水を飲ませるには?
冬でも猫がしっかりと水を飲めるような対策を行なっておけば、尿路結石の予防にもなります。以下で代表的な対策を紹介しておきます。
- 水をこまめに取り替える
- ぬるま湯にする
- 水に猫が好む味を付ける
- 循環式の給水器を使う
- 水入れの容器の数を増やす
- 置き場所を変えてみる
- トイレと水飲み場はできるだけ離す
- 餌をウェットタイプに変える
- カリカリ(ドライフード)を水でふやかせる
水をこまめに取り替える
猫は新鮮な水を好みます。最低でも1日1回は水を新しいものに変えてあげましょう。そして、猫に与える水は水道水が最適です。ミネラルウォーター等はカルシウムやマグネシウム等を含むため、猫に与えてしまうと尿路結石の原因となってしまいます。
ぬるま湯にする
冷たい水を嫌う猫は、少しでも温度の高い水を飲もうとします。そこを利用して、与える水を温めるという方法です。毎回ぬるま湯を用意する手間はかかりますが、冷たい水に比べて飲む量がアップするので、おすすめの方法です。
水をこまめに取り替える方法と併せて試してみてください。
猫が好む味を付ける
これはうちの猫に効果絶大でした。猫が大好きな食べ物の匂いを水につけて与えるという方法です。うちの場合はささみの煮汁で試してみましたが、ぺちゃぺちゃと美味しそうに飲んでいました。
ササミ本体も食べたがるようでしたら与えても大丈夫とのこと(獣医さんにも確認済み)。ただし、生ではなくてちゃんと茹でたものにしてください。また、食べさせすぎないようにします。ササミばかり食べてキャットフードを食べなくなってしまう可能性もあります。
猫にササミを与えてもいいのかどうかは意見が分かれるところですが、以下の記事が参考になります。
外部リンク:猫にささみを与えても大丈夫?食べていいもの悪いもの
ウェットタイプの猫餌をお湯で溶いて与えるというのも良い方法だと思いますね。ただし猫缶はカロリーが高めで、与えすぎると肥満の原因にもなりますので、あくまでも水を飲ませることを目的にして、具は味を付けるための調味料くらいの気持ちで与えて下さい。
ちなみに、かかりつけの獣医さんによれば市販の猫缶もあまり与えてほしくはないとおっしゃっていました。やはりカルシウムやマグネシウムの過剰摂取につながってしまうのだとか。
ウェットタイプでも尿路結石に配慮した低マグネシウム(ミネラル分)タイプのものもあります。
⇛ロイヤルカナンのpHコントロール0(ドライ)で尿路結石を予防する
循環式の給水器を使う
猫は何故か流れのある水を好んで飲みます。水道から直接飲む猫の動画も、数多くYoutubeにアップされています。これは心当たりのある飼い主の方も多いのではないでしょうか。
その習性を利用して、循環式の給水器を利用する方法もあります。
電動式で水を吸い上げ、常に水が容器の中で流れているような状態を作るアイテムですが、水を浄化するためのフィルターが付いているものもあり、水を清潔に保つこともできます。
Amazonで3000円くらいで購入できます。アクアリウムの世界では有名なGEX(ジェックス)が販売。フィルターで水を常に浄化できることから、多頭飼にも向いている容器ですね。
水入れの容器を増やす
猫は遊んだり散歩したついでに水を飲む習慣があります。そこで、水入れの容器を部屋のアチコチにおいておけば、横を通った「ついで」に水を飲む可能性が高まります。
置き場所を変えてみる
容器の数を増やすことにも繋がってきますが、いつもと違う場所に置いてみて猫が水を飲んでいるかを確認してみましょう。
そして、元々あった場所から移動させたら水を飲んだ・・・という場合、水飲み場自体に問題がある可能性もあります。
トイレとの距離が近かったり、水飲み場が寒かったり、衛生的でなかったり・・・様々な理由で、「猫が水を飲みづらい環境」になっていた可能性もありますね。
トイレと水飲み場はできるだけ離す
猫は綺麗好きなので、トイレの近くに水飲み場があると敬遠しがちです。できるだけトレイと水飲み場は離すようにして、衛生状態にも気を配ってあげて下さい。
餌をウェットタイプに変えてみる
猫の食事といえば、ドライタイプ(通称:カリカリ)が思い浮かびますが、猫缶に代表されるようなウェットタイプやパウチタイプも様々な種類が販売されています。
水分量が殆ど無いドライタイプと違い、ウェット(パウチ)タイプは全体の70%~80%が水分です。お腹を満たしながら水分補給もできるので、一石二鳥ともいえます。
ただし、缶詰タイプはかかりつけのお医者さんに曰く「あまり与えないほうがいい」とのこと。絶対にダメというわけではないが、下部尿路疾患にかかりやすい子には、やはり配慮してあげたいということでした。
ドライフードを水でふやかせる
これもうちの子には効果があった方法です。餌と一緒に水分も自然と取れます。ただし、「カリカリ」しない餌に拒絶反応を示す猫もいます。ふやかした途端に全く食べなくなるという場合も?
また、水にカリカリが浮かぶほどひったひたにしてしまうのはダメです。猫が餌をまったく食べれなくなってしまいます(うちの親がこの失敗をやらかしてました・・)。
室内飼の猫は特に注意が必要
家の中と外の行き来を自由にしている猫であれば、散歩の途中にどこかで水を飲んでいる事が多く、水分不足になることも少ないでしょう。しかし、完全に室内で飼育している猫であれば、運動不足に加えて肥満になっている場合もあります。
猫は肥満になると水を飲む量が減ってしまいます。これは、身体の中の水分量が減ってくると、その脂肪分を腎臓で分解して水分に変換するためで、そのために水を飲む量が減ってしまうのです(これは人間でも同様です)。
ラクダの「コブ」と同じような仕組みですが、身体の中で水分を循環させる過程で、老廃物やマグネシウム等のミネラル分はどんどんと身体の中に蓄積されていきます。ろ過による腎臓への負担も大きくなってしまいますので、やはり水をしっかりと飲ませる必要があります。
それでも水を飲まない猫の場合は・・・?
少し強引な方法になりますが、スポイトで無理やり飲ませたり、猫の身体を霧吹きで湿らせ、毛づくろいさせて水を飲ませるという方法もあります。
どちらもかなり強引な方法になりますので、これは最終手段といえます。スポイトで強引に飲ませて気管をつまらせたり、身体を濡らしすぎて猫が風邪を引いてしまっては大事ですからね。
尚、猫が1日に飲む適切な水分量は50ml~80ml程と言われています。それ以上に飲むようならば、腎臓になんらかの疾患(腎不全等)が疑われますので、一度病院への受診をおすすめします。
尿路結石に代表される、猫の泌尿器系の病気のケアは、とにかくしっかりと、十分に水を飲ませる事が大切です。そして、ロイヤルカナン等のpHコントロールの療養食を与えるようにして、煮干しや鰹節といった干物系、人間が食べるようなもの(お菓子や塩分の濃いもの)も与えないようにしてください。
毎日の食事に関しては、尿路結石の猫に市販のキャットフードを与えてはダメ?のページを御覧下さい。